石の観音様

石の観音様 貫井

 貫井の中央にある観音堂には、馬頭観音と石造りの観音様が安置され、毎年1月19日の縁日には、赤ん坊の無事な成長を願う親達や家畜についての願いをもった人々でにぎわっています。このうち石の観音様は不思議な力をもっていたと伝えられています。

 ある時のこと、上州東平井村の商人が、小川へこうぞを売りに行った帰り道、ちょうど貫井にさしかかると、なにやら村の子供達が集まって、大さわぎをしているので、立ち止まって見ると、なんと、石の観音様に縄をかけて、引きづりまわして遊んでいるではありませんか。商人は子供に注意をしてやめさせると、この観音様を馬の背にのせて家に持ち帰り、たいせつにお祀りしたそうです。

 ところが、幾日かたったある夜のこと、商人の夢枕に観音様が立って言うのに、あのいたずらな子供達のいる、もとの村に帰りたいと、悲しそうな顔でたのんだそうです。夢からさめた商人は、さっそく、馬の背にのせ貫井の中央に移しました。この不思議な話をきいた村人達は、さっそくお堂を建て、この観音様を安置したそうです。そして、後に、立派なお堂を建立して、馬頭観音を奉納し、この石の観音様と共に、村の守り本尊としてたいせつに、お祀りしたそうです。

子どもたちを注意する商人の水墨画
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